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【マーケターズコラムVol.2】2022年度大学入試の傾向を4つのキーワードから紐解く

4月に入って約1週間。
新生活をスタートした方も、あわただしい毎日を
送っているのではないでしょうか。

これからまた1年が始まっていくわけですが、
年初にすることと言えば、やはり昨年度の振り返り。

そこで今回は、「2022年度の大学入試」を振り返り、
その傾向から「2023年度の大学入試はどうなるのか?」を
考えてみようと思います。

入試改革がおこなわれて2年目の昨年度。
そこで発生した事象を振り返っていきましょう。

 

2022年度の大学入試 トピックスPick Up

2022年度の大学入試を振り返る上で、
4つのキーワードからその傾向を読み解いていきます。

4つのキーワードとは、
1.「ニュースタンダード」
2.「2年目のジンクス」
3.「バンドワゴン効果」
4.「戦国時代」

それぞれのキーワードをもとに、
2022年度の大学入試を分析していきましょう。

 

1. ニュースタンダード
 年内入試は新しいスタンダードになりつつある。

入試改革で大きく変わったものとして挙げられる1つに、
「年内入試」があります。
これまでの制度と異なり、
・総合型選抜
・学校推薦型選抜
という区分になり、求める人材像についても変化がありました。

その中で、大学側でも受験生側でも、
この年内入試に対しての意識は変わりつつあります。

大学側は、総合型選抜・学校推薦型選抜に力を入れ始めており、
年明けから始まる一般選抜の合格定員数を下げて、
年内入試の合格者を増やす施策を取っているケースが目立ちます。
(この背景には定員厳格化もあります。)

一方の受験生側も、年内で合格を決められる入試には当然需要があり、
私立大学では実に57%もの入学者が年内入試で合格を決めている、
といったデータも存在します。

総合型選抜・学校推薦型選抜の志願者推移
参考:ベネッセ入試結果調査③総合型選抜の志願者数は国公立、私立とも増加

いずれにしても、
1月に共通1次やセンター試験を受けて、
2月に私立大学や国公立2次試験を受ける、
といった「入試本番=年明け」という概念は、
もう過去のものになっています。

2017年ごろから年内入試の需要は高まりつつありましたが、
改めて年内入試がニュースタンダードと言えるでしょう。

 

2. 2年目のジンクス
 予想以上の難化が進んだ大学入学共通テスト。

入試改革で最も変わったと言われているのは、
大学入学共通テストの導入でしょう。

これまでの「知識」を求めるセンター試験と比較して、
共通テストでは「思考力」が問われていると言われています。

実際に問題を見てみると分かりやすいのですが、
事前知識がなくても考えれば解ける、という問題は
様々な科目で散見されます。
逆に言えば、知識だけで簡単に解けるわけではない、
というところがポイントになっています。

さて、その導入1年目だった2021年度は
センター試験と比較して「易化」したと言われていました。
実際の平均点も高めになっており、
科目間での差が開きやすいため得点調整が
2015年以来6年ぶりに行われました。

そして、2022年度。
これまでのセンター試験でも「易化した翌年は難化する」
と言われていましたが、
2022年度も例に漏れず共通テストは難化しました。

特に数学は昨年度と比較して、
Ⅰ・Aで19.72点減、数学Ⅱ・Bで16.87点減と
大きなダウンとなっています。
基幹3教科(国語、英語、数学Ⅰ・A、数学Ⅱ・B)でも
平均点は37.55点減と、大きく下がりました。

2022年度大学入学共通テスト科目別平均点
参考:2022年度 大学入学共通テスト平均点(最終)・受験状況

まさに入試版2年目のジンクスでもあったわけですが、
恐らく2023年度はこの2年間のデータをもとにして、
標準化される見込みです。
受験生にとってはある程度計画が立てやすい方向になりますが、
その分実力が問われやすい試験になるとも言えそうですね。

 

3. バンドワゴン効果
 「国公立大学」志向は本当に高まっているのか?

皆さんは「バンドワゴン効果」という言葉を知っているでしょうか。
これは行動心理学の世界で用いられる用語で、
「みんながいい!と言っているものをいいと思う」現象を表しています。

例えば、SNSで評判になっている商品があったとして、
「みんなが言っているから自分も欲しい」と思うことは
日常生活でもよくありますよね。

大学入試でも、このバンドワゴン効果の減少はよく見られます。
第一志望を選択する時もそうですが、併願校であったとしても
「知っている」だけでは選ばず、
「詳しくは知らないけど評判は良さそう」ということが決め手で
選ぶケースはよくあります。

特に国公立大学はその傾向が強く出ることも多く、
「国公立大学なら安心」という風潮は未だに根強く存在します。
2022年度は共通テストの難化もあり、
共通テスト直後には国公立大学を敬遠する傾向が出るのではないか、
とも言われていましたが、
国公立大学をそのまま受験するケースが多く、
昨年よりも志願者は増加する結果となりました。

国公立大学志願者増加
参考:2022年度入試国公立大志願状況速報とこれからの大学入試

もちろんこれには家計の事情や通える県内での地元志向など、
様々な要素が影響してはいます。
ただ、それでもこの「バンドワゴン効果」は見過ごせないものであり、
特にコロナ禍の中で検討校数が減少している中では、
いかに評判を良くしていくか、広めていくか、
というのは重要な観点にもなっていると言えるでしょう。

 

4. 戦国時代
 首都圏、近畿圏の競争は激化していく。

最後のキーワードは「戦国時代」ですが、
これは多くの方がピンと来るかなと思います。

コロナ禍の中で、地方から首都圏や近畿圏への志望者は
減少しており、この傾向は当面続くと言われています。

2022年度も地方からの出願は回復しておらず、
首都圏の大学では関東以外の入学者の割合が極端に
下がってきています。

地元占有率
参考:コロナ禍で地元志向強まるも、首都圏、近畿圏で微妙な差

このような状況下では、限られたエリアに多くの大学が存在する
東京(首都圏)・大阪(近畿圏)では受験生の取り合いが発生します。
まさに戦国時代さながら、「選ばれる大学」になるためのPR合戦は
今後ますます激化していくことでしょう。

ただ、受験生が大学選びで何を大切にすべきか、
という本質は忘れてはいけないものです。

その大学では、どんな学びができるのか。
その大学では、どんな生活が送れるのか。
その大学では、どんな活動ができるのか。
その大学では、将来どうなれるのか。

みんながみんな明確な目標や夢を持っているわけではないですが、
高等教育機関である大学の役割を見失うことなく、
本当の意味で「選ばれる大学」になる必要性は高いでしょう。

 

2023年度の大学入試の未来予想図(まとめ)

2023年度大学入試の未来予想図

ここまで2022年度入試を振り返ってきましたが、
この2年間で大学入試は一変したと言っても過言ではないでしょう。

その中で、大学側(特に私立大学)が意識する点は
・ニュースタンダードである年内入試をいかに訴求するか。
・2年目のジンクスを超えた大学入学共通テスト3年目の
 受験生の動きをどう読むか
・バンドワゴン効果による国公立偏重をどうカバーしていくか。
・戦国時代を生き抜く、勝ち抜くための打ち出しポイントは何か。
といった部分になってくるでしょう。

2023年度は、恐らく地元志向が残りつつも、
コロナの状況次第で多少緩和はされると思います。
ただ、家計不安なども含めて併願校を多数出すことは少なく、
また難化した2022年度でさえ国公立大学の志願者は減らなかったこともあり、
2023年度もまだまだ国公立優勢の状況は続きそうです。

その中で、選ばれるためには。
改めて、大学の真価が問われる1年になりそうです。

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